(お話し)ストレスケア日比谷クリニック院長 酒井和夫先生
(聞き手)多摩川ドグウッドクラブ 石井利也社長
酒井:どんな風に調子がわるくなってしまったのですか?
石井:まず朝起きられない。ちょっと熱っぽい。無理して家事なんかしていると、こうなんていうかパワーがないんですね。食事はもともと小食だったので誰も気づかなかったらしいのですが、表情が乏しく、なんかこう、つまらなそうな顔で、しんどそうにしている。見かねて休むようにすすめると横にはなるんですが寝てない。かなり痩せたみたいですよ。
ボクの友人が分かるくらいですから。彼女の妹が「ダイエットどころじゃなくてこれはあぶない・・・」なんて心配しはじめて・・・
酒井:相当我慢していたんでしょうね。愛犬が亡くなったときに思いっきり悲しんでおけばよかったのに。
石井:そうなんですよ。友人がここ多摩川ドグウッドクラブのやり方を聞いて、「あの頃そんなのがあればな」って言ってました。
酒井:誰に気兼ねすることもなく、わーわー泣くことは必要なことなんですよ。大切な存在を亡くしたわけですから、喪失感を体験するのは自然なことです。気持ちを抑える必要なんて全くない。これは家族を亡くして悲しんでいるのと同じ状態です。
石井:皆さんすごく抑えるみたいですね。
酒井:ええ、これくらいのことで泣いていたりしてはいけない、というような我慢は美徳とされる風潮が日本にはありますが、こういうのは無理のもとです。皆さんがもっと自分の気持ちに素直になれればよいのですが・・・アメリカなどの欧米ではペットロス症候群の方のためのサポートグループが結構普及しているんです。
石井:そうなんですか。日本ではまだあまり聞いたことがないですね。どんなことをしているのですか?
酒井:ペットロスに苦しむ方の心理的サポートを行っています。かわいがっていたペットを失った時の対応法を教えたり、グループセッションやカウンセリングによって自分の中の悲しみやつらさを昇華・整理する手助けをしています。気持ちを押さえ込むのではなく、真っ向から受け止め、時間をかけて自分自身が納得いくように折り合いをつけていくんです。ネット上に、悲しみや思い出を共有するページなどが設けられていることもあります。
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