(お話し)ストレスケア日比谷クリニック院長 酒井和夫先生
(聞き手)多摩川ドグウッドクラブ 石井利也社長
石井:ペットロス症候群について、まだあまり世の中に浸透していないと思うのですが・・・
酒井:そうですね。ペットロス症候群とは、かわいがっていたペットを亡くしたことによる心理的な喪失体験が原因で起こる症状のことです。具体的には、喪失感・孤独感・罪悪感などに加えて、睡眠障害や食欲不振、疲労、集中力の欠如などうつの症状があらわれます。
石井:実際にそんな状態の人を診察される際、どんなことをお感じになりますか?
酒井:人間的な人が多いですね。いろいろなことに共感をもてる人が多いようです。特に目立つのは、自分が今こんな状態でいることが周囲に迷惑をかけている、という自責の念の強い人が多いことです。
石井:ということは、自分の調子がよくないのを自覚しているということですか?
酒井:そうですね。自分がうちのめされていると感じている方も多くいらっしゃいます。不眠や食欲低下といった症状から抑うつ状態まで出現します。そして、そのような方は、こちらでそのつらい状態を改善する手助けをしたいと思っても、それに耳を傾けることができない場合も多いです。
石井:自分がペットロスだとわかっていて、なかなか乗り越えられないと?
酒井:そうそう、周りの気遣いがよい方向に作用しなくなってしまい、自分も周囲も困ってしまうんです。
石井:それじゃどうしたらよいのですか?困っているのを知りながら無視することもできないし。ボクの友達の奥さんで、愛犬を亡くした後けろっとしていた人がいます。ボクは「大丈夫なんだな」とほっとしていたんですが、2ケ月半くらいたった時から急に調子が悪くなりました。カラダの病気かと思いいろんな検査をして、どこも悪くないとわかった後はじめて、本人が愛犬を亡くしたせいかもしれない、って言い出した、そういうのがありましたね。 |