(お話し)ストレスケア日比谷クリニック院長 酒井和夫先生
(聞き手)多摩川ドグウッドクラブ 石井利也社長
石井:ペットロスもストレスと関係があるのですか?
酒井:大いにあります。愛するものを亡くしたというその新しい環境そのものがストレスです。いままでと違った暮らしが求められるわけですから。
例えば、毎朝愛犬と散歩していた人が、相手を亡くして散歩にいけないとします。散歩にいくことは健康法でもあったわけで、当然行きたい・・・そして一人で行ってみるのですが、道であう人がみんな聞きますよね、「あら、どうしたんですか?」と。そう考えるだけでもう出かける気が失せてしまう、億劫になってしまう。そして・・・
石井:どんどんストレスが強くなるわけですね。
酒井:そのとおり。
石井:人によってずいぶん感じ方は違うだろうと思うのですが・・・。それは愛情の深さに関係ありますか?
酒井:そういってもよいのですが、むしろ個人の感じ方の違いですね。環境による影響もありますが、同じ環境にあっても、みなさんそれぞれ違った反応をされるようです。誰もがペットロスに悩むわけではないのですが、自分で「大丈夫」と思っていても、苦しむことになる人もよくいます。「最愛のペットのいない私の暮らし」というものが組み立てられず、混乱してしまうんですね。
石井:ペットロスに悩む方々にアドバイスをいただけますか?
酒井:一人で悩まないことです。周囲の人をどんどん巻き込んでいってしまえ、そのくらいの気持ちがもてればあまり心配はいりません(笑)。また、自分は病気なのかどうなどと考え込まないで、気軽に専門家に相談するのがいいと思います。
最近はインターネットなんかでいろいろ質問したり相談したりできますから、そういうものを利用するのがよいでしょう。また、多摩川ドグウッドクラブのように共通の体験・場をもてる場合は、こまめに出かけて誰かに直接はなしてみるとよいでしょう。あるいは天国のあの子に手紙を書くのもよいでしょう。家に引きこもって、一人で悩むことが一番よくありません。
石井:ドグウッドクラブみたいな場所も大切なのですね。
酒井:なにより、気兼ねがいりませんよね。
石井:そうですね、よく分かりました。ボク自身もなんだか少し気持ちが落ち着いたような気がします。自信をもって、こういった集まりをやって行こうと思います。酒井先生、今日はありがとうございました。 |